自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

日本心理学会第77回大会チュートリアルワークショップのフォローアップ(その2)「極めて低頻度で起こる問題行動」について

「一年に一回とか、極めて稀に、発作的に起こってしまう行動は、どのように測定できますか?」というご質問をいただきました。具体的には、万引きとか、盗撮だそうです。 応用行動分析学を活かした行動変容の実践では、日々行動を記録し、主に行動の頻度を対…

日本心理学会第77回大会チュートリアルワークショップのフォローアップ(その1)「自主性」をどのように解釈するか

日心のチュートリアルワークショップ『日常生活に活かす応用行動分析学』では、応用行動分析学の考え方を日常の仕事や生活における行動変容に援用していくときの注意点やコツなどについてお話しました。 90分の持ち時間のうち、私の話と参加者との質疑応答の…

再考シングルケースデザイン:吉田寿夫先生からの問いかけに答える(その5):多層ベースライン法(マルチプルベースライン法)について

吉田先生からの問いかけ:マルチベースラインデザインによる研究とリプリケーションの違いは?そもそもベースラインがマルチなのか? 私たちは “Multiple baseline design” を「多層ベースライン法」と訳しています(『行動分析学入門』産業図書)…

再考シングルケースデザイン:吉田寿夫先生からの問いかけに答える(その4):心理的メカニズムについて

(やたらと「私見」と断り書きするところが多くて歯切れが悪いのですが、学会という公的組織についての見解や、行動分析学という学問に関する私の理解について書いていますので、無用な誤解が生じないための配慮とお考え下さい) 吉田先生からの問いかけ:心…

『どうして声が出ないの?: マンガでわかる場面緘黙』 使えそうな一冊です。

場面緘黙の本は少ないので、貴重な一冊である。しかも、前半はマンガ、後半はスモールステップでの指導や練習に使えるチェックリストや具体策のイラストなどが掲載されていて、とても使いやすそうな本にまとまっている。 緘黙そのものよりも、緘黙によってQO…

行動分析学から心理学の基礎概念を解釈する(その12):ホーソン実験とホーソン効果

定義: ホーソン実験とは「1924年から32年にかけてシカゴのウェスタン・エレクトリックのホーソン工場で実施された一連の研究」(『組織行動のマネジメント』p. 176、S. P. ロビンス、ダイヤモンド社)である。適度な照明などの労働環境を科学的管理法の視点…

再考シングルケースデザイン:吉田寿夫先生からの問いかけに答える(その3): 不可逆的な変化、持ち越し効果、効果が現れるまでに時間について

○(その従属変数に対する,その介入は)「不可逆的な変化をもたらすものか」「持ち越し効果があるものか」「効果が現れるまでに時間がかかるものか」といったことについて,どう考えているのか?前回のご質問(「フォローアップ」と条件反転による行動…

Amazonの注文履歴で検索ができないのは俺だけ?

「インクカートリッジ」で検索しているのに、全く無関係な注文がヒットする。 検索対象期間を絞ると、キーワードが消えてしまう(期間を絞ってキーワード検索できない)。 この記事を参照してカスタマーサポートに連絡してみようと思います。 後日談です。 …

日本経済新聞SPbeta の見出しに改善の余地あり

iPhoneやiPadで読むのにとても便利な「日本経済新聞SPbeta」(html5使っていて、記事の一括読込も可能)なのだが、見出しの構成に改善の余地ありです。 見出しの機能は、読みたい記事に視線を移動させ、読まない記事は視線をスキップさせることで、無駄な視…

『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』 ゼミの参考書として使えそうです。

うちのゼミでは、卒論/修論/博論の執筆で「パラグラフ・ライティング」法を指導しています。 パラグラフ・ライティングとは、各段落に一つの論点を「トピック文」として段落の先頭に書き、段落の残りの部分は、論点の論拠や例などを「サポート文」として書い…

アンドロイドフリー??

「質も量も」二兎を追うアップル 「新型iPhoneは有害物フリー(無し)なだけでなく、アンドロイドフリーでもある」。10日の発表会でアップルのフィル・シラー上級副社長は会場を沸かした(日経新聞 2013/9/12)。 なんて書くから、まさか新型iPhoneは…

もしドラッカーが行動分析家だったら:ドラッカーの名言を行動分析学から解釈する(その16) 「強みを総動員する」

名言〔第15位〕:「強みを総動員する」 解釈: 上司でも、部下でも、自分自身でも、苦手な行動、不得手な行動をする機会よりも、好きな行動、得意な行動をする機会を増やした方が、組織にとっての成果につながる。 苦手な行動とは、行動内在的に嫌子出現によ…

再考シングルケースデザイン:吉田寿夫先生からの問いかけに答える(その2): 「フォローアップ」と条件反転による行動変容の有無について

吉田先生からの問いかけ:ベースラインに戻したときに従属変数の値が介入前の値(の方向)に戻ることの意味について・介入の効果を主張するための強い証拠?・効果の持続性がない(強い効果がない)ことの証拠?これらは矛盾することではないのか? 各研究では,どう…

はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(番外編7) 区の保健所担当窓口への(ポジティブな?)クレーム

7月の日本行動分析学会年次大会自主シンポジウム「『罰なき社会』を再考する」で山本央子先生からいただいた宿題の報告です。 犬のしつけで殴ったり、蹴ったり、チョークチェーンで絞めあげたりするなど、嫌子を使った弱化や阻止(回避)が使われることを止…

再考シングルケースデザイン:吉田寿夫先生からの問いかけに答える(その1): 名称について

8月は学会、研究会、研修会、里帰り旅行と、行事が目白押しで、7月末の日本行動分析学会創立三十年記念シンポジウムで関西学院大学の吉田寿夫先生から投げかけられたいくつもの重要な問いかけにブログで答えるという仕事が置き去りになってしまっていまし…

Google検索エンジンにも使われていた(!?) 行動分析学:GOOGLE Reveals Search Technology: PigeonRank™

Larry Page と Sergey Brin が Skinnerの行動分析学にもとづいて開発した、ハトのチーム(Pigeon Clusters: PC)を使った低コストで高性能の検索エンジン。 知らなかった... (2002年のGoogleによるエイプリルフールの記事です)