自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(24)扉の閉まったクレート内で安心して食事ができるようにする(番外編:電子オルゴールの誤算)

その1、その2の番外編です。 せっかくリモコンをつけたので、宅配などの来客があったときにフィーダーが回っておやつが出てくるようにすれば、玄関で荷物のやりとりをしている間、クレートでおやつを食べてくれ、吠えも防止できると考えました。 玄関のチャ…

はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(23)扉の閉まったクレート内で安心して食事ができるようにする(その2)

その1の続きです。はる(うちの犬)は食事を一気に(長くても2分以内で)平らげてしまいます(参照:「完食させる」)。食事の時間を使った脱感作には時間的限界があるので、扉を閉めたままでもう少し長い時間クレート内にいる練習(吠えたり、出ようとして…

行動分析学から心理学の基礎概念を解釈する(その20):処理水準

定義: 「認知機能は、入力情報の感覚的、物理的な分析を行う「浅い」水準から、抽象的、意味的、連想的な分析処理を行う「深い」水準へと階層的に構造化されている」「深い処理を行う方が(その単語の)保持成績は優れたものになる」(『心理学辞典』(有斐…

行動分析学から心理学の基礎概念を解釈する(その19):同化と調整

定義: 「同化とは環境を自分のなかに取り込む働きであり、調整とは自分を環境に合わせて変える働きである」(『心理学辞典』(有斐閣), p. 622)。 行動分析学的解釈: 同化とは、既習の行動レパートリーが新奇な刺激に対し自発され、強化される、刺激般化…

強化の遅延について補足:日本語で読める研究とKindle版も入手可能な専門書

一昨日の記事について補足しておきます。 まず、強化の遅延時間(行動から好子出現までの時間)の効果についての研究については、少し古いですが、これまでの文献をまとめているという点で、また現在、Kindle版も入手可能であるという点でお勧めです。Common…

「60秒ルール」の誤解:即時強化の「即時」とは本来「遅延なし」、せめて「1-2秒」のことです。

産業図書の『行動分析学入門』では「60秒ルール」を以下のように解説しています。 指針:ルールによる制御 行動をしてから60秒たってから好子が与えられる時はルールによる制御を考えなさい。 この指針は、ある行動が随伴性によって直接制御されているのか、…

「ショールーミング」の失敗と遅延割引

衣料、ネットで割安感なく 「ショールーミング」サービス不発、導入店舗 広がらず店に並んだ衣料品のタグにスマートフォン(スマホ)をかざすとインターネットで購入できるアプリサービスが4月末、ひっそりと終了した。衣料品通販サイトを運営するスタート…

《速報》今年の行動分析学道場では事例研究支援を担当することになりました。

「行動分析学道場」は奥田健次先生が主宰される行動コーチングアカデミー(西軽井沢)での合宿研修です。 三年目となる今年は事例研究支援を担当させていただくことになりました。すでに終わった事例、これから取り組む事例、どちらでもOKです。道場当日には…

はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(22)扉の閉まったクレート内で安心して食事ができるようにする

ビデオを撮っていなかったのが今となれば残念なのですが、はる(うちの犬)はクレートの中で食事ができませんでした。正確には、クレートの扉が閉じていると、外に出たがり、食事どころではなくなってしまっていました。 扉を開けたままなら、自分から中に入…

行動分析学から心理学の基礎概念を解釈する(その18):反転図形(多義図形)

定義: 「客観的には同一の図形でありながら、知覚的には二つあるいはそれ以上の形が成立する図形(『心理学辞典』(有斐閣), p. 708)。 行動分析学的解釈: 複数の異なる随伴性で弁別刺激となり、異なる行動を誘発させうる刺激。どちらの(どの)刺激性制…