自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

風邪でダウンを次回の教訓に

 サバティカルも大詰めというのに酷い風邪をひき、数年ぶりにのべ6日間も寝込んでしまいました。ゼミ生には以下のように訓示(?)をたれているのに、桜咲く前にだらしなさ満開です。

体調管理について
大人になると健康管理は仕事の一つになります。具合が悪いから休みますでは、なかなか済まなくなるのが現実です。となると、具合が悪くならないようにするしかありません。

具体的には:

(1) 十分な睡眠時間をできるだけ同じ時間帯にとる。
(2) 気温にあわせて衣服や室温を調整する。
(3) 栄養に気をつける(コンビニ弁当やスナック菓子ですませないようにする)。
(4) 頻繁に手荒いとうがいをする。
(5) 疲れすぎたら無理しない。

を実行するだけで、風邪を引いたり、体調を崩す確率は確実に低下させることができます。

皆さんはまだ年齢的には若いので(5)は無理がきくかもしれませんが(私はもう無理です)、(1)-(4)は年齢に関係なく影響します。
 
 振り返ると、今回はいくつかの罠にはまっていたことがわかります。

 まず、風邪の引きはじめ。鼻水、のどのいがいが、倦怠感などが一週間以上続いていたのですが、季節柄、花粉症の症状だと思っていました。実際、部分的には花粉症だったのかもしれません。この段階で鼻水はまだ透明でしたから。花粉症で体を休める必要はないので、サバティカルフィナーレに向って原稿をどんどん書き、テニスをし、まだ冷たい風が吹く中、はる(犬)を公園やドッグランに連れていっていました。そのうち、鼻がつまるようになり、鼻水が黄色くなり(最終的には出血するようになり;今年の流行だそうです)、咳がでて、悪寒、関節痛、筋肉痛などがでてきました。風邪の初期症状が花粉症の症状でマスクされ、適切なタイミングで「休息」に入らなかったことが初動期の罠でした。

 次に、これは風邪だと思ってからの対応です。軽い風邪なら、運動し、汗をかいて風呂に入り、お酒をかーっと飲んで寝てしまえば、熱はでても次の日にはケロッと治る。それでうまくいったのはせいぜい二十代前半くらいまで。風邪の症状は安静にしていても少なくとも3ー4日は持続するのが近年の傾向。それにも関わらず、若いときのこういう経験が未だに影響していて、そういう行動パターンをとってしまいます。今回もそうでした。その結果、喉の炎症がひどくなり、夜、息がしにくくなって咳がでて眠れなくなり、休養できず、体力が落ちました。

 今回は、静養を決意してからも罠がありました。昼間、ただ寝ているのはもったいない気持ちになり、4月になって大学生活が再開したら観る余裕がなくなるテレビドラマでも観ておこうと、Hulu(REVOLUTION)に手を出してしまいました。寝落ちしては巻き戻し、しばらくしてからまた寝落ちして巻き戻しを繰り返し、結局、熟睡できず疲れがとれませんでした。

 それでも2日後には約束をしていた用事があったので外出。天気もよく日差しも暖かそうだったので、春らしい格好をしていきましたが、風は冷たく、外を歩く時間も長く、始終、寒気を感じていました。元々、上記「(2) 気温にあわせて衣服や室温を調整する」が苦手という自覚はあるのですが、うまく機能しませんでした。

 薬に関してはよくわかりません。病院に行ったのは、症状がいよいよ悪化したラスト二日前で、それまでは市販の風邪薬を飲んでいました。そもそも風邪を根本治療する薬がないことは承知の上ですが、諸症状を緩和するとうたっている各種の薬剤も、今までに本当に効くと実感したことがありません(頭痛薬が頭痛を緩和するように、咳止めが咳を止めたり、鼻炎をおさえる薬が鼻水を止めたりしたように感じたことがありません)。これは市販薬でも、病院で処方される薬でも同じです。それでも病院に行ったのは、何か別の病気だったらやばいからです(今回は鼻血が気になったからです)。

 せめてこの体験を活かすために、体調管理のチェックリストを改訂することにしました。上記は予防のための項目としてとっておき、以下の項目を追加します。

風邪かなと思ったら(鼻水、のどのいがいが、倦怠感など)、
 ○ 運動と酒を控え、暖かくして早く、たっぷり寝る
 ○ 花粉症に偽装した風邪に注意すること
症状が悪化してきたら(咳、悪寒、発熱など)、
 ○ 病院に行き、薬をもらう(外出するときには大袈裟までに着込む)
 ○ 外出は控え、昼間も休み、強制的に熟睡する(読書、テレビ、パソコンなどは禁止事項)
 ○ 鼻水、のどのいがいが、倦怠感などの初期症状もたいてい収まるまで無理はしない

それにしても、あぁ〜 もったいない一週間だったなぁ。