自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

台所の棚卸しでわかる、ふと買ってしまい、気がつくと賞味期限を過ぎている食品や、一度も使わず処分することになるもの、の行動随伴性。

Miso

胡麻のふりかけ、鮭フレーク、岩のり(瓶詰め)...スーパーで見かけた瞬間は作用している確立操作(遮断化)が、一、二度、ご飯にかけて食べることで飽和化してしまうケース。次に遮断化が作用してくる前に賞味期限をむかえる。一人暮らしには量が多すぎるって話かも。

しょうが湯...これはもう少しわかりやすい。寒気がしたり、風邪気味で喉ががらがらしているときに買って(痛刺激提示による確立操作)そのとき一度くらいは飲むが、その後、体調が戻ると(痛刺激が消失すると)放置状態。

みそ...なぜか時々「自分でみそ汁をつくる!」と決めるが、実行はまずしない。カップみそ汁の勝ち。味噌にも賞味期限があることを数年後に知る(今日破棄したペットボトル入り味噌の賞味期限は2011年4月だった)。購入時の随伴性と調理時(食事時)の随伴性が異なることによって生じる無駄。

インスタントラーメン...非常時の保存食として大量に買っておくのだが、非常事態がそんなにしょっちゅうあるわけでもなく、そもそもインスタントラーメンは日頃から食べないので、長いはずの賞味期限も気がつけばあっという間。これは「非常食」の宿命かもしれない。賞味期限が切れる前に(それをプロンプトして)消費するための随伴性マネジメントが必要。

電子レンジで簡単調理シリーズ(炊飯、焼肉、焼魚、種々のルクエ)...普段やらない料理もこんな器具があればやるかもと思わされて購入するが、普段料理をしない理由は器具には由来していないため(時間、手間、買物など準備にかかるコストなどなどの弱化随伴性と、出来合いの総菜の方が美味しいという両立しない行動の強化随伴性)、結局、レシピを一読するだけで食器棚のベンチウォーマーに。

果たして、こうした随伴性分析を文書化することで、無駄な買物が抑制できるかどうか。じぶん実験です。