自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(番外編1) 座卓、座卓(改1)、座卓(改2)、そしてテーブルへ。

はるを迎えるために、徳島時代から使っていた巨大な円卓を処分し、長さを変えられる座卓を購入しました。居間にサークルをつくるため、また、一緒に遊べる空間を確保するためです。

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ところがサークルを開放して居間で遊べるようにすると、問題が生じました。

放っておくと座卓の上に上がります。ちょこんとお座りします。寝転がって寝てしまうことさえあります。でも「決して叱らない」方針を貫くため、当初はそのまま放置していました。

食事のときにはサークルに入れておいたので、それ以上の問題はなかったのですが、いよいよサークルを撤去すると、食事のときに食べ物を奪われないようにすることが困難になりました。

クレートは残してあるので、その中に入れておくという手もあったのですが、この段階までクレートは常にオープンで、クレートには自分から入って休んでいましたが、こちらが無理に入れて扉を閉めると吠えだす状態。クレートに入っているときだけフードを与える練習も始めていたのですがうまくいかず(扉を閉めると食べなくなってしまう)、クレート訓練は中断していました。

そこで日曜大工魂を発揮し、座卓に脚をつけ、テーブルにしてしまうという作戦にでました。写真が座卓(改1)です。

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ちなみに、これより前に、寝室ではるがベッドの上にあがれないようにするために、ホームセンターで大量のコンクリートブロックを買ってきたことがありました。3段重ねで60cm近くかさ上げしました。ところがです。完成した自作"ハイベッド"にドヤ顔ではるを迎え入れたとたん、はるは軽々とジャンプし、ベッドの上にあがってしまったのです。笑うしかなかったです、あのときは。

そういうことがあったので、写真からわかるように、座卓につけた脚はかなり長くなっています。高すぎて、こっちが食事しにくくなるくらい(笑)。

ところが、今度は「噛み」問題が発生します。追加で装着した脚は木製で、ちょうど噛み心地がよいのか、がりがりガリガリ噛みだしました。ビターアップルで対抗しますが、スプレーしても木材が成分を吸込んでしまうのか、しばらくすると無効化してしまいます。

この座卓、重量がかなりあります。ガリガリ噛んでいるうちに脚が折れて崩落なんていう事態は絶対に避けなくてなりません。

そこで再びホームセンターに出かけ、配管工事に使う塩ビの太いパイプを購入してきました。これを切断し、脚に装着。座卓(改2)が完成です。

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見かけは悪いが、機能はばっちりと思っていたら、これにも食らいついていきます。さすがにいくら噛んでも塩ビが欠けることはないし、味もしないだろうし、この噛みが私の注目によって強化されていることは間違いないのですが(留守のときにはしないし)、完全消去は難しく(ふと見てしまうことがあれば部分強化しちゃうし)、時間もかかり、何より「崩落」が怖いので、せっかく買った座卓はあきらめ、新しくテーブルを購入することにしました。もちろん、脚は鉄製。いくらでも噛んで下さいという製品です。

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このテーブルが到着した後も、しばらくの間は脚への噛みが自発されていました。「鉄でも噛むのかい!」とツッコミたくなりました。しかし、半年以上経過した現在、テーブルの脚への噛みはまったく自発されていません。味もしないし、何かが剥がれることもなく消去されたのか、どんなに噛んでも心配ないので私も注目しなくなり、消去されたのか、その両方なのかはわかりませんが、こうして、

・座卓/テーブルの上にあがる
・人の食事を食べる
・座卓/テーブルの脚を噛む

といった問題行動を「叱らずに」失くすことができました。

番外編としたのは、しつけや訓練とは異なる方法で解決したからですが、実はこういう環境設定も重要なのではないかと思っています。