我田引水になりますが、拙著『人は、なぜ約束の時間に遅れるのか』では「人が、なぜ宝くじを買うか」も分析しています。
答えは「夢のため」。こう書くとあたり前のようですが、宝くじの購買行動を強化しているのは、まず当たることのないくじそのものではなく、当たったらこれ買おう、あれ買おうと思いをめぐらせる行動の機会だと分析しています。
年末ジャンボ一等の当選確率は1千万分の1と言われていますが、夢をみる機会を得る確率は1.0ーー百分の百でハズレなし--です。
そして、このように考えると、宝くじを買った人のうち、意外にも多くの人が抽選日をかなり過ぎてから当選確認をする理由もわかります。当選確認をすると、はずれていたことがわかるからです(夢をみる機会を失います)。好子消失による弱化です。
未換金の高額当選があるということは、当選確認を先延ばししているうちに、くじを紛失してしまったり(くじそのものには好子としての価値がそれほどないということです)、次の宝くじが販売され、そちらを買ってしまったりして、結局、当選確認をせずにいる人たちがかなりの数いるということでしょうね。
人は、,なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書) 島宗 理 光文社 2010-08-17 売り上げランキング : 7490 Amazonで詳しく見る by G-Tools |