自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

宝くじ、未交換の高額当選があるのは、当選確認行動が好子消失によって弱化されているからとみた。

年末ジャンボ、26億円未換金 みずほ銀行は23日までに、昨年の年末ジャンボ宝くじ当せん券のうち、一等(2億円)5本、二等(1億円)4本、一等の前後賞(5千万円)25本の計26億5千万円分がまだ換金されていないと発表した(日本経済新聞, 2010/11/24, p. 34)。

 我田引水になりますが、拙著『人は、なぜ約束の時間に遅れるのか』では「人が、なぜ宝くじを買うか」も分析しています。

 答えは「夢のため」。こう書くとあたり前のようですが、宝くじの購買行動を強化しているのは、まず当たることのないくじそのものではなく、当たったらこれ買おう、あれ買おうと思いをめぐらせる行動の機会だと分析しています。

 年末ジャンボ一等の当選確率は1千万分の1と言われていますが、夢をみる機会を得る確率は1.0ーー百分の百でハズレなし--です。

 そして、このように考えると、宝くじを買った人のうち、意外にも多くの人が抽選日をかなり過ぎてから当選確認をする理由もわかります。当選確認をすると、はずれていたことがわかるからです(夢をみる機会を失います)。好子消失による弱化です。

 未換金の高額当選があるということは、当選確認を先延ばししているうちに、くじを紛失してしまったり(くじそのものには好子としての価値がそれほどないということです)、次の宝くじが販売され、そちらを買ってしまったりして、結局、当選確認をせずにいる人たちがかなりの数いるということでしょうね。