自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

行動分析家が書いた動物介在療法の入門本を読みました。『よくわかる!アニマルセラピー』 by メリー R. バーチ

Animaltherapy


 来週の施設見学に向けてにわか勉強中。『ヘンリー、人を癒す』の山本央子先生から『よくわかる!アニマルセラピー』をいただきました(補足:Amazonではなぜか売っていませんが、楽天紀伊国屋Livedoorセブンネットショッピングなどでは取り扱いがあるようでした)。

 この本、『Research Methods in Applied Behavior Analysis』(Sage Publications, 2002)という、応用行動分析学の研究法の教科書をJon S. Baileyと共編したMary R. Burch先生の著書なんです(追記:Bailey先生とBurch先生はご夫婦だそうです。山本先生からメールで教えていただきました。そういえば神楽坂のBrusselsでお聞きしたような記憶が... ベルギービールの彼方に)。

 動物介在療法の概論書で、基本的な考え方から、動物の選び方や訓練法、介護施設や学校、障害者の施設、病院など、訪問先ごとの特徴や気をつけること、事例などが紹介されています。

 「アニマルセラピー」というと、動物のためのセラピーみたいに誤解されることがあるので「アニマル・アシステッド・セラピー」と呼ぶようになっているそうです。人のセラピーに動物の助けを借りるということですね。

 動物を介在させることで、怒りや不安を減らしたり、自発的な行動を促したり、動物とふれあう機会を好子につかって自閉症のお子さんかのコミュニケーションを促進したりと、いろいろなケースがあるようです。

 動物をさわったり(それで動物から反応があったり)、動物に話しかけたり(それで動物から反応があったり)することが好子として機能するであろうことは予想できるし、それを、他の様々な好子(おもちゃや、ゲームや、人のセラピストと遊ぶことなどなど)と同じように使うということは想像しやすいのですが、怒りや不安といった感情への影響はよくわかりません(直感的・常識的にはわかるのですが、行動分析学からどのように解釈できるのかはすぐにはわからないということです)。

 怒りや不安の低減という効果が行動分析学からどのように説明できるのか、見学から帰ってきたら考えてみたいと思います。

 Animal Behavior Society という学会から、Certified Applied Animal Behaviorist という資格がでてるんですね(へぇ〜。知らなかった)。

 来週末の施設見学がいよいよ楽しみです。

ヘンリー、人を癒す―心の扉を開けるセラピー犬 ヘンリー、人を癒す―心の扉を開けるセラピー犬
山本 央子

ビイング・ネット・プレス  2007-11-01
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