記事によると、実験ではカラスを被験体に、男女の顔写真をふたにした容器を使って、男性の写真をはったふたを選ぶと中の餌がもらえるように訓練したそうだ。何種類の顔写真を使ったのか、刺激般化が生じるかどうかをテストしたのか、強化随伴性を反転させてみたのか(女性の顔を選ぶと餌がもらえる)は不明。容器をどのように使ったのかも不明(この手の実験では「クレバーハンス」の問題を回避するために行動分析学ではスキナー箱などを使って人手が介在しないように実験をするのだが...)。
ハトにピカソとモネの絵画の判別ができるのだから、カラスに男女の顔判断ができてもそれほど意外ではない。
むしろ、「カラスは男女を認識しながら人間を攻撃する知恵がある」という杉田教授の解釈の方が〈意外〉かも。
カラスが人の顔写真を手がかりに「男女」を弁別できることがわかったとしても、それが路上で人を襲うときの手がかりになっている保証はない。むしろ、背の高さや服装、単数か複数、カラスと対峙したときのリアクション(向かって来るか、遠ざかっていくか)、あるいは棒などの武器になりそうなものをもっているかどうか、などなどの方が、餌にありつけるかどうかの弁別刺激としては有効だと思われるからだ。
女性でも(顔が女性っぽい人でも)カラスからの攻撃を撃退できる人はたくさんいると思いますよ。