このところ、教員研修の講師をするたびに、過去1ヶ月で仕事のための本を何冊読んだか、参加者の先生たちに尋ねることにしている。
特別支援教育コーディネーター研修とか自閉症など軽度発達障害に関する研修が多いので、そういう関係の本なら何でもいいという条件で質問するのだが、5冊以上読んでいる人は数パーセントしかいない(150人くらいの会場で2-3人)。
1-2冊という人が半分くらい。残りの先生は本を読んでいないことになる。
最初は驚いて何かの間違いだと思っていたけど(遠慮して手を挙げないとか)、親しい先生たちに聞き取り調査をしてみると、あながち不正確な統計でもないようだ。
聞き取り調査から類推される要因は以下の通り。
・“研修”というのは、校内研修会とか教育委員会の主催する研修会に参加すること。つまり、誰かの話を聞いてくることという認識・慣習がある。自分で文献を調査したり、図書を購入したり、図書館に出かけて勉強しようとする人は少ない。
・本を読むより、他の人に質問した方がてっとり早い。
・本を読まなければとは思うけど、近くの本屋に売っていない(ネットで本を購入したことがある人?と質問すると、だいたい30%くらいの人が手を上げる。増加傾向にはあるようでちょっぴり安堵)。
・本を買っても読む時間がない。放課後は会議や雑務、授業準備でいっぱいいっぱい。
・本を買って読み始めても、内容が難しくて挫折してしまう。
などなど。
最近では本を買わなくても、ネットで手に入る情報も多い。
教育改善を全国的なレベルで進めるためには、ちょこまかした研修をしたり、一部の人のためだけの専門性大学院を作るよりも、
・ネットなどを使って文献や資料を見つけるスキルをマスターしてもらい、
・就業時間中に自主研修の時間を確保し(1日最低1時間とか)、
・自己学習に関して、目標設定やチームでの助け合いなど支援体制を拡充させる
方が効果が上がりそうな気がする。