自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

忘れることの対策

元記事(忘れることの対策@応用行動分析学&特別支援教育探求道)。

30代半ばをちょっと越えたあたりから、物忘れがひどくなってきた。

“老化”ではない!と声を大にして言いたいが、「否定(denial)は老化の初期症状」と誰かさんに指摘されそうなので、控えめに。

自分の場合、まず人の名前がでてこなくなった。仕事の性格上、これはとても失礼にあたったりする可能性があるので、なんとかしたいところだ(「あいうえおかきくけこ....と小声で唱えているときは、なんとか名前を自発しようとして補助的刺激を与えているときです」)。

まずは“老化”以外の解釈:

 仕事でも趣味でも新しく知り合う人が急増した。日常的にコミュニケーションをとる人が100人以上になったくらいから、新しく知り合う人の名前を“自然に”は覚えられなくなり、かつ、すでに覚えていたはずの人の名前が顔を見てもでてこなくなった。

 → 知り合いの数が増えるにつれて、一人あたりのコミュニケーション回数や時間は反比例して減少した。つまり、名前を自発して強化される(タクト)機会が少なくなった。

 → 「田中さん」「鈴木さん」「山本さん」など、名前のダブりが増えてきた。一対一対応していないと刺激性制御がつきにくい?

 → 電話の時代には「○○さんいらっしゃいますか?」とマンドとして名前を言って強化されることがあったが、メールによるコミュニケーションが増えるとこの機会も減る。

対 策:

・直接会って話をするときには、アメリカ人のように、頻繁に名前を呼ぶようにする。

・このために研究会の前とかには参加者の名簿に目を通しておく。

・メールを書くときには単に「返信」をクリックして本文を書き出さずに、相手の名前だけは自分で打ち込むようにする。

・苗字が重なるときにはファーストネームかニックネームを使う。

・カテゴリーごとに覚えるようにする(「国府のダン坂口」とか「天水の森くん」とか)。つまりイントラバーバルのコントロールを利用する。

以上。

悪あがきかな?