自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

言語行動と等価性の枠組みによるTVコマーシャルの分析

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たたたたたいよう 楽しく いたいよう
ビタビタしたら ミンミンするよ
アセロラ体操サントリー

最近、授業(行動分析学特講)の課題としてやってるテレビCMの分析。これまではレスポンデントや"Evaluative conditioning"の枠組みから解釈されてきたテレビCMの効果だが(参考文献)、言語行動と等価性の枠組みの講義の後で、応用課題として視考させると、受講生も興味を持って取り組んでくれる。

Cm

CM中の刺激に反応して「アセロラ」とか「ビタミン」と考えたり、言ったりする行動の自発頻度が、最初はエコーイックやテクスチャルにより、そしてそれが次第にイントラバーバルやタクトに移行していく。

自分の場合、ちょっと喉が痛いなぁとか風邪気味だなぁと思うときにコンビニでアセロアを買うことが多い。これは「ビタミン」と「風邪予防」の間に元々成立している等価性(CMによって形成されたわけではないという意味で)に「ビタミン」と「アセロア」の等価性が追加されることで、「風邪」→「アセロラ」のイントラバーバルが発生したり、風邪の症状がでているときにアセロアを飲む(ビタミンを多く含んだものを摂取する)と症状が緩和されるという嫌子消失の随伴性(ただし、おそらくは偶発的強化の伴なるルール支配行動)により逃避行動としてアセロラの購買行動が自発されやすくなったりする、などなどと考えられる。

こういうふうに視考してみると、CMで購買行動を増やそうとするなら、その商品の購買場面で想定される確立操作や弁別刺激、誘発したい行動を書き出し、そのうち未形成の関係性をつくる刺激の提示法をデザインすれば良いということになる。少なくとも、概念上は。

参考文献

中島 定彦 (2006). 商品広告と古典的条件づけ--研究展望(1) 行動科学, 45(1), 51-64.
中島 定彦 (2006). 商品広告と古典的条件づけ--研究展望(2) 行動科学, 45(2), 27-36.
中島 定彦 (2010). テレビCMは逆行条件づけか? 人文論究, 60(2) , 39-53.