自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

こんにゃくゼリーのリスク

ワースト3 一位:もち
二位:あめ類
三位:こんにゃくゼリー

さて、何のワースト3でしょう?

答えはこちらに(←内閣府食品安全委員会のwebサイト)。

食べ物による窒息の死亡者数が毎年4千人以上ということですから、大きな社会的問題である。

上記のサイトには、幼児や高齢者ごとに事故防止の方法や万が一喉につまらせたときの措置についてわかりやすい資料が作成されているので、一度、目を通しておくことをお勧めします。

気になったのは日経新聞のこの記事。

日本経済新聞(2010/01/14, 朝刊)食品安全委員会)が人口動態統計や国民健康・栄養調査などをもとに、特定の食品類を1億回口に入れた場合に窒息する頻度を推計したところ、ワースト3はもち6.8-7.6、あめ類1.0-2.7、こんにゃくゼリー 0.16-0.33。パン、肉類、魚介類、果実類、米飯類と続いた。

上記のwebサイトでこの統計データを探したのだが、見つからない。

一億分の一にも満たない低確率の推定ってどうやってやるんだろう?

食品安全委員会によれば「こんにゃくゼリーのリスクはあめと同等」ということだから、一時期騒がれていたように(スケーブゴート的に責められていたように)、こんにゃくゼリーがことさら危険ということではないらしいが、少なくとも「もち」との間には統計的な有意差があるのだと結論しているとみられる。

でも、こういう検定もどうやってやるんだろう?

低確率で生じる結果は行動を制御しにくい(「天災は忘れた頃にやってくる型」)。

もちやゼリーを喉につまらない大きさに切ってから食べるという行動を増やすためには、そのまま食べようとすると不安になるようなルールの提示が有効だと思われる。

だとすると、一億分の○○レベルの確率表示よりも、「昨年全国で○○人の人がもちを喉につまらせてお亡くなりになりました」といった記述法の方が効果があるかもしれない。

Twitter」にぼやいたとたん、「つぶやいたらどうですか?」ってツッこまれたので、今日はちょっとつぶやいてみました。