自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

記銘・再生課題の行動分析

大学院の「発達行動特論」という授業では、シュリンガーの『行動分析学から見た子どもの発達』を教科書に、記憶や言語、運動の発達を行動分析学から再解釈している。

この本では、ピアジェなど、発達心理学メインストリームの中心的な研究が数多く紹介され、それが行動分析学から解釈されている。異なる理論への翻訳(translation)という作業である。

受講生と私とで取り組んでいるのは、こうした文章による解釈を行動随伴性ダイアグラムに書き表わすこと。

ダイアグラムのパーツ(部品)は、弁別刺激、確立操作、行動、結果(好子出現、嫌子消失,,,etc)、条件刺激、無条件刺激、条件反応、無条件反応などに限定し、こうしたパーツだけで実験結果が説明できるようにダイアグラムを描けるかどうかが第一ステップ(描けなければ解釈が不十分か、あるいは行動分析学ではまだ同定できていないパーツがあることになる)。次に、ダイアグラムを描くことで新しい洞察を得ることが第二ステップ。さらなる実験のアイディアや研究テーマが見つかればベスト。とりあえず、今のところは各自がホワイトボードを手にしてわいわいガヤガヤやってます。

ちなみに下の図は受講生へのサンプルとして記銘・再生課題をダイアグラムにしてみたもの。自由再生がうまくできるかどうかは、記銘刺激以外の、リハーサル時にあった他の刺激をうまく再現できるかどうかにかかっているということが表現できていると自負していたけど、受講生には「わかりづらい〜」と不評でした(涙)。

Diagram_rehearsal

行動分析学から見た子どもの発達行動分析学から見た子どもの発達
Jr.,ヘンリー・D. シュリンガー Henry D.,Jr. Schlinger 園山 繁樹

二瓶社 1998-06
売り上げランキング : 438706
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools