自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

『園での「気になる子」対応ガイド』

鳴門教育大学附属養護学校の猪子先生(現在、鳴教の大学院に在学中。私の阿波踊りの先輩でもある)が、徳島県内の保育士さんたちと事例研究を中心にしたコラボレーションを展開している。これまで私が養護学校の先生たちとやってきた仕事を、保育所を対象にリプリケーションする研究を修士論文としてやっちゃおうというチャレンジだ。地域の学校と保育所が連携できるように、今後の展開も視野に入れた大きなプロジェクトだ。

先週の金曜に2回目の研修が行われた。教科書として使うには間に合わなかったが、野呂文行先生(筑波大学)から新刊書が届いた。

『園での「気になる子」対応ガイド:保育場面別Q&A・保護者他との関わり・問題行動への対応など』 野呂文行【著】 ひかりのくに

新しすぎて出版社のHPにもまだ未掲載。Amazon紀伊国屋などのオンラインショップでも取り扱いがない(9月から取り扱いになるそうです)。

まさにホッカホッカの新刊。

内容は、保育所や園などで気になる子の行動例を具体的にあげ、発達障害の特性からその原因を考え、原因に対応した保育の方法や配慮を紹介するというもの。

気になる行動の原因を推定し、それにあった対応をするということが意外にも難しいことは以前にもブログで書いたことがあったけど、本書ではまさにそこのところをカバーしている。

行動分析学の考え方は最後の章にちょこっとだけ解説されているだけだが、その内容は問題行動の機能的分析とポジティブな行動支援(PBS)という先進的なもの。

先に紹介したリハビリ本と同様にイラストが多く、読みやすい(イラストが多い本を書きたい私にとっては羨ましい限り)。

低年齢の子どもの場合、発達障害の有無にかかわらず(つまり子どもが“健常”であったとしても)、発達障害をもっている子どもへの対応策は有効である。障害児保育は専門じゃないからなどとは言わず、ぜひすべての保育士さんに読んでいただきたい。

これもお勧めです。

*Amazonに登録されましたので追加します。