自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

教師の専門性向上

先日、国府養護学校小学部の事例研究会に参加した。3時間で12のケースについて話し合う超高速ミーティングだが、まずリーダーの森住先生から配布されたのは「専門性マトリックスチェックシート」だった。

国府養護学校では数年前から教員の専門性向上のために自ら作成した183の項目について一人ひとりの教員が自己評価するようになっている。個人の評価はその個人にしか見れないが、学部ごとの平均値や学校全体の平均値は全員が閲覧できるようになっている(詳しくは『特別支援教育を支える行動コンサルテーション』(学苑社 )をご参照下さい)。

この仕組みを導入した当初から、校内研修などを開催するときにはその研修で向上を狙う専門性を、183項目から該当する項目を示すことで提示しようということになっていたのだが、外部講師として参加する事例研究会でまさにこの実践を目撃したのは初めてだったので、なにやら感慨深いものがあった。

今回の事例研究会で対象となったのは、「個別の指導計画の目標にそった具体的な学習記録を必要に応じてつけることができる」「ABC分析を活用して指導方法を考えることができる」「課題分析などを活用して指導方法を考えることができる」「適切な(難しすぎない)指導の手だてができたかの評価ができる」の4項目。

各事例に関する助言をしながら、同時に、この4つの専門性に関する先生方の成長を承認し、さらに今後のさらなる専門性向上についてアドバイスするのにとても役立った。

外部から講師をお招きするときには気が引けがちになるかもしれないが、研修の目的を具体的に教えてもらえれば、少なくとも自分なら仕事が圧倒的にしやすくなる。

他の学校でもぜひ取り入れていただきたい方法だ。