自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

風水によるルール支配

青い財布は「金が流れていく」そうだ。テレビで風水の人が解説していた。私の財布はモンベルのブルー。どおりで貯金ができないわけだ。ちなみに赤い財布は「お金を燃やす」そうで、こちらもお金は貯まらない。貯めようとしたら黒い財布に変えるべきらしい。

バカな話。と一蹴するのは簡単だが、よくよく考えてみると、効果がまったくないとも断言できない。

血液型性格説にしろ、風水にしろ、こういう迷信的なルールを信じている人は、ふだんからルールについて考える頻度が高いはず。

買い替えた黒い財布を片手に夕食のおかずを買いに行くたびに「そうそう。黒い財布に変えたんだから、もう無駄遣いはしないわよ」(←主婦をイメージして下さい)とルールを自発し、これまではついつい無駄に買って腐らせていた安売り商品の購入を控えるかもしれない。

つまり、黒い財布のようなアイテムが迷信的ルールを自発させるプロンプトとなり、かつ、ルールに従わないことが十分に嫌悪的であるなら、望ましい行動が導かれる可能性もあるというわけだ。

A:先行条件 B:行 動 C:結 果
P:プロンプト E:確立操作 手に取った商品を棚に戻す 「無駄遣いしなくてすんだわ」(↑)

黒い財布 「せっかく財布を換えたのにまた無駄遣いしちゃう」

と、くだらない迷信にもそれなりの意味があるかもよとまとめようとして、ネットで風水について調べていたら、詐欺まがいの商品を売っていたり、自覚なく騙されている人がたくさんいることが分かった。これはアカン。

風水にはまるならお金をかけずにはまりましょう。

自分の場合、気に入っているのでブルーの財布は買い替えません。「あ〜ぁ、また金が流れていく」とタクトしながら浪費することにします。