日本教育心理学会第55回総会のGeorge Sugai 先生による特別講演の準備がようやく終わりました。PowerPointスライドを日本語にし、渡辺弥生先生と協力して配布資料も別途作成しました。準備しながら、Sugai先生とメールをやりとりして、質疑応答もさせていただきました。役得です。
そのなかで、以前から思っていた、Positive Behavior Intervention and Support (PBIS)の“Positive”って何が“Positive”?っていう疑問をぶつけてみました。
以下がSugai先生の回答です。許可を得て引用します。わかりやすいように意訳しています。
“ポジティブ”という言葉は、(A) 新しい問題行動が生じないように、そして既存の問題行動が再発しないように予防すること、(B) 問題行動の替わりになる、より望ましい社会技能を教えること、(C) 児童生徒の成功と達成を重視すること、(D) 児童生徒がうまくやっているとき、望ましい行動をしているところを日頃からとらえて承認すること、に焦点をあてる取組みに対して使っています(G. Sugai, personal communication, August 7, 2013)。
PBISをどう訳すか決め手がなかったのですが、Sugai先生の回答からは“Positive”が複数の特性に対してつけられた名称の一部であることがわかるので、これは訳さず、固有名詞として扱うべきなんだろうなと思いました。
なお、講演用スライドを事前に読ませていただいた印象は、近年のSWPBISがRTIを統合し、学業支援(学力向上)に力を入れているということです。これは、学校は学校が本来すべきこと(教えること)ができてないときに、その他諸々の問題が生じやすくなるという、私の持論と一致した方向性で、なるほどという感触です。もちろん、スライドだけでは内容はよくわからず、あくまでこの時点での私の推論にすぎないのですがしかありませんが...
あとは講演を楽しみに待つだけです。
(原文)WE USE IT TO REFER TO AN APPROACH THAT FOCUSES ON (A) PREVENTION (PREVENTING THE DEVELOPMENT OF PROBLEM BEHAVIOR OR PREVENTING THE RECURRENCE OF PROBLEM BEHAVIOR), (B) TEACHING SOCIAL SKILLS THAT ARE MORE APPROPRIATE AS REPLACEMENTS FOR PROBLEM BEHAVIOR, (C) THE EMPHASIS ON STUDENT SUCCESS AND ACHIEVEMENT, AND (D) REGULAR ACKNOWLEDGEMENT OF STUDENT SUCCESS AND DISPLAYS OF ACCEPTABLE BEHAVIOR. (G. Sugai, personal communication, August 7, 2013)
なお、日本教育心理学会第55回総会は8月17日-19日に法政大学市ヶ谷キャンパスで開催されます。Sugai先生の講演は、初日の13:00-15:00に予定されています。