先日、現職教員数名との覆面座談会を行った。 テーマは「教師はなぜ本を読まないか?」。
もちろんすべての教師がそうではないだろうが、とても熱心な先生でさえ、特に専門書になると、「なかなか読めない」、「買ったけど、そのまま」、「ページを開けて文字だらけだと、読む気を無くす」ことが多いようだ。
活字を全く読まないというわけではなく、雑誌(ファッションや芸能)は熟読するという。
教育に関する専門的なことに興味がないのかというとそんなことはない。覆面座談会の出席者は誰もがとても勉強熱心な先生方だ(この点に関しては私が個人的に保証します)。
そういう自分も、最近はさっぱり小説を読まなくなってしまった。学生時分は週に数冊は読んでいたのに、過去一年ではせいぜい『ハリーポッター』くらい。食事のときなど、比較的気を抜いてるときに読むのは『日経トレンディ』とか『MacPeople』。ホントは Journal of Applied Behavior Analysis とか Journal of the Experimental Analysis of Behavior とかの論文を日常的に読むべきだし、読みたいのにも関わらず、なかなか読めない。逆に、ゼミ生やコラボレーションしている学校の先生たちに情報提供するために、特別支援教育関係の文献をひたすら読んだりしている。
たとえ本の内容に興味があって、読書行動を強化する内在的随伴性が存在しても、それを上回る弱化の随伴性があるということだろうか....
前置きが長くなってしまった。
本書は、ADHD(注意欠陥多動性障害)に関する概説と、保護者や教師が取り組めるさまざまなアイディアが簡潔にに紹介されたガイドブックである。現在のところ、ADHDへの対処としては薬物療法と行動療法の組み合わせがベストとされているが、その両方がバランスよく解説されている。
薄く(全77ページ)、文字も比較的大きく、専門的につっこんだ話はほとんどないので、たとえば、初めてADHDの児童・生徒を担当することになった先生たちにちょうど良いのではないだろうか。
「行動分析」というキーワードはでてこないけど、行動のマネジメントや社会的スキルの指導など、全編通じて行動的な指導方法のアイディアがちりばめられた本である。
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