自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

北京ABAレポート#5:文化と行動随伴性

北京の前にソウルで遊んできたので、飛行機のルートは関空→インチョン→北京(Korean Air)。

インチョン−北京便の乗客は、ほとんど韓国人か中国人だったと思う。驚いたのは着陸後、まだ飛行機が停止してもいないのに、機内のあちこちから携帯の電源をonにした音が聞えてきたこと。中には通話を始めた強者もいる。

日本の国内便なら直ちに乗務員からクレームがつくところだけど、まったくお咎めなし(ちなみに羽田ー徳島線で、到着後、席から立ち上がって搭乗口に歩いていくところ(2mくらい手前)で電源を入れて怒られたことがある)。

最初は、なんだこの韓国人たち、常識がない!と怒りに近い感情を抱いてしまったけど、よくよく考えると、ほんとに危険なら乗務員も止めるはず。もしかして着陸後には携帯を使っても運転に支障はないのかな。

だとすれば「常識」だと思っていたルールも万国共通の常識とは言えなくなる。日本の国内線であそこまで厳しく叱るのは、もしかして他人の迷惑にならないようにというエチケットのためなのかも(だとすれば少々大げさな気もしないでもない)。

異なる文化や社会に住む人たちの行動だけを見て、それをその人たちや国の「性格」として自分勝手に評価するのは慎むべきだろう。特にそれだけで卑下したりするのは最悪だ。異文化の行動の差異の裏には、必ず行動随伴性の違いがあるはず。それを見つけていくのは楽しいし、相互理解にもつながるだろう。

中国人の路上での「つばはき」にもきっとそれなりの行動随伴性があるはず。