自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

第8回国際行動分析学会(ABAI's Eighth International Conference in Kyoto)が盛況のうちに終了しました(裏話)。

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Photo by J. S. Twyman

 9月27日から29日までホテルグランヴィア京都で開催されていた第8回国際行動分析学会には、最終的に600人を遙かに超える研究者、実践家、学生や院生が参加し、盛況のうちに幕が閉じられました。
 それまでずっと米国内で開催されてきた年次大会に加え、2001年からほぼ隔年で世界各地で開催されているこの大会の歴史においても、記録的な数の参加者数となりました。
 国際学会の開催に関与するのは、2012年のBehavior Change for a Sustainable World Conference についで2回目です。あのときは開催地がオハイオ州立大学だったこともあり、Program Committeeの仕事だけを開催前の準備期間中にするだけでよかったのですが(しかもホテルには巨大なスイートが用意されていましたが)、今回はさすがにそうもいかず、あれよあれよという間に仕事が増えていき、開催前も開催中も(終了日翌日さえも)、大忙しの毎日でした。
 なにしろ国内の心理学系学会でいうところの、いわゆる大会事務局にあたる組織は存在せず、KalamazooにあるABAI事務局本部がすべて仕切るのです。当然、日本語を話せるスタッフはいません。ABAIは年次大会だけではなく自閉症関係の大会も毎年開催していて、最近ではその他にもいくつかのテーマに特化した小規模な大会も開催しており、そのすべてを事務局長のMaria Malottとその回りの数名のスタッフのみで運営しているのです。
 今回の京都の大会でも、事務局スタッフはMariaを含め、なんと4人だけ。日本からはいくつかの大学から9名の院生さんが会場ボランティアとして参加してくれましたが、彼らの研修も初日の2時間のみでした。ものすごく極度に人的資源を節約した運営なのです。当然、あちこちで問題が発生しますが、ラテン系Mariaのモットーは「何があっても楽しむこと。問題はバレなければOK」(本人談)。とかく完璧を目指そうとする日本人の心意気とは大きな違いがあることが身にしみてわかりました。

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 大会の前日と翌日には霊長類研究所と日本モンキーセンターへのツアーが組まれました。これもある日突然(こちらには相談もなく)決まっていて、驚かされました。あとからでてくる様々な問題に、霊長研の松沢先生、モンキーセンターの赤見先生をはじめ、スタッフの皆さまのご協力と、このツアーに同行して下さった Invisible Hero社の清水先生、愛知大学の吉岡先生、明星大学の竹内先生、急遽招聘された大学院生ボランティアの皆さまのご尽力で、一人の迷子をだすことなく、総勢50名以上の外国人参加者を犬山まで送り届けることができました。今だから明かしますが、ABAI事務局は、当初、霊長研が京都にあると思い込んでいたようですよ(確かに京大附属の機関ではありますけれども)。

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 裏方の仕事が忙し過ぎて、シンポジウムや発表はあまり聞くことができなかったのが残念でしたが、個人的なハイライトは、初日のチュートリアルセッションでの奥田先生 vs(おそらく)BCBAセラピストたちの攻防と、Bill Heward、Janet Twymanという二人の元ABAI会長と一緒にやらせていただいた招待シンポジウムでした。両方とも、こういうのは、打ち合わせなし、出たとこ勝負のライブ感が大切であることを再認識しました。"攻防"については、またいつか詳しく書くことになるかもしれません。
 この学会の開催にご協力して下さったすべての方々へ、参加して下さったすべての方々に、今は感謝の気持ちでいっぱいです。
 特に、会場で、ツアーで、ボランティアとして活躍して下さった大学院生の皆さまへ、この成功はみんなのものだよ〜 おめでとう。