自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

食物アレルギーはもしかしてレスポンデント? 脱感作的な治療法の有効性が研究されているようです。

 アレルギーの対処法は原因となる物質(アレルゲン)を特定し、それを回避するのが一般的だが、敢えてアレルゲンを経口摂取し、アレルギー反応を抑えていく手法が研究されているらしい。

食べて治す 食物アレルギー例えば、卵アレルギーの場合、まず、生卵の白身から作った粉を少しずつ飲む検査を実施、アレルギー症状が出る最低量を決める。そこから1日数回、毎回の量を前回よりも20%ずつ増やしてジュースなどに混ぜて飲む。ある程度の量になったら卵料理に変えて、卵1個に相当する約60グラムが食べられるようになるまで続ける。途中でアレルギー症状が起きたら、薬などで症状を抑えながら前の量に戻す。数週間で目標量に到達する子どもが多い(日本経済新聞, 夕刊, 2011/1/8)。

 手続きだけ読むとまさに脱感作によるレスポンデント消去だ。もしかして、アレルゲンにも生得性のもの(無条件刺激)と習得性のもの(条件刺激)があり、アレルギー反応が条件反応ならば、脱感作によって消去できる可能性があるということなのだろうか。

 岩田力先生(東京家政大学教授)を代表者とした厚生労働省の研究班が臨床研究を開始したそうである。その結果に期待したい。もちろん「食物アレルギーのある人が、自己流で食べるのは危険。治療を希望する場合は、必ず治療体制の整った専門の医療機関を受診してほしい」(伊藤直香医師@東京大学医学部)というのは言うまでもない。