自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

アニマルセラピーコースの見学に行ってきました。

Animalassistedthepary

 学部2年生5人、大学院生1名と一緒に行ってきましたよ。山梨県、上野原にある、帝京科学大学。横山准教授(精神科医)のアニマルセラピーコース。今回は、「適性評価」の実習を担当されている山本央子先生から授業見学の許可をいただくことができました。

 午前中は講義、午後は実習ですが、山本先生の愛犬"さつこさん"が教壇の下に座っていて、講義中もときどきそっちに目が行っては、「かわいいなぁ」と心が癒されたような気持ちになります(山本先生のノートPCみてもこういう気持ちにはならないわけだから、やっぱり動物には何かしらの効果があるわけですよね)。

 アニマルセラピーとは動物を介在させてストレスを低減したり、生活の質を向上させる心理行動療法のことです。不登校や引きこもりなどの心理的な問題や小児がんのような医学的な問題における効果が検討されています。我が国にも自閉症児に馬やイルカと一緒に遊ばせるなど、民間療法の形で浸透しつつあります。

山本先生の講義ではその長い歴史も紹介されました。キリスト教の信仰やあのナイチンゲールの著書にも動物を医療に使うことの意義が記されているそうです。

 これまではどちらかというと、正直、猜疑心しか持っていなかったのですが、今回、実習前に本を読み、もしかしたら、まだエビデンスが確認されていないだけで(そういう研究があまり行われていないから)、逆にしっかりした研究を進めて、効果のあるサービスとそうでないサービスを見分けられるようになることが重要ではないだろうかと思うに至りました。

 山本先生はとにかく動物の福祉を強調されていました。人間と同じように、動物にも刺激に対する感受性やストレス耐性に個体差があり、期待されている仕事で要求されること(例:子どもたちにやたらめったら触られまくる)が苦手な動物を無理してまで(訓練づけにして)使うのは望ましくないという考え方にはやたら納得。

 画像は「適性評価」実習の一コマ。自分も参加させてもらい、車いすに乗り、受講生の学生さんたちが連れてきてくれたワンちゃんたちを、クライエント役になってさわったり、声をかけたりしました。

 講義の間は気がついたこと、考えたことをTwitterでつぶやいてみましたが、実習中はさすがに無理でしたね。

 参考情報:

 動物介在療法(Animal Assisted Therapy)の効果をメタ分析した研究にはNimer & Lundahl (2007)があります。小学校なんかでウサギや鶏を飼育することも一種の動物介在活動(Animal Assisted Activity)に入るんじゃないかと思いますが、日本で行われた研究には藤崎(2004)があります。

  • Nimer, J., & Lundahl, B. (2007).  Animal-Assisted Therapy: A Meta-Analysis.  A Multidisciplinary Journal of The Interactions of People & Animals, 20(3), 225-238.
  • 藤崎亜由子 (2004)幼児におけるウサギの飼育経験とその心的機能の理解   発達心理学研究,15(1), 40-51.

 山本先生、横山先生、受講生の皆さま、貴重な授業を見学させていただき、誠にありがとうございました。