自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

人はなぜ応援するのか?

某TV番組の制作会社から「人はなぜ応援するのか?」を教えて欲しいと問い合わせがきた(全国ネットのゴールデン枠)。

バンクーバーオリンピックを来月に控えての企画らしい。

専門ではないのだが、面白いテーマだと思い、休日返上で文献調査してみた。

すると、意外なことに、心理学的な研究はほとんど見つからなかった(社会学的な論文はいくつか見つかったが、あまり面白くない)。

たとえば運動会で自分のチームの友達を応援するようになるのは、いつごろ、どのようにだろう?なんて疑問は、発達心理学の研究にありそうだが、ない。

どんな人がどんな選手をどんな理由で応援しがちかなんてのは、社会心理学の研究にありそうで、ない。

心理学で最も近そうなのは、スポーツ心理学における「ファン心理」や「観戦行動」の分析だが、どちらも「応援」とは微妙なズレがある。観戦してても応援するとは限らないし、観戦しないでも「気持ちで」応援はできるし。

それでもいくつか関連する文献がみつかったので、以下のメールを返信した。

XXさま こんにちは。

お問い合わせの件ですが、私は「スポーツ観戦」の研究をしていませんのでよくわかりません(ごくごく一般的なことか、推測や憶測になってしまいます)。

そこで少し文献を調べてみました。しかしながら、「スポーツ観戦」とか「ファン心理」の研究ならいくらかあるようですが、観戦中に応援することの効果や機能についての研究はあまり行われていないようです。

関連のありそうな文献をご紹介しておきます。お役に立てず、申し訳ありません。

広沢俊宗・井上義和・岩井 洋(2006)プロ野球ファンに関する研究(V) : ファン心理、応援行動、および集団所属意識の構造(第二部 スポーツファンへの多面的アプローチ,創造性の視点) 関西国際大学地域研究所叢書, 3, 29-40.

元 晶?(Won Jung-uk)(2008)韓国プロサッカー観戦者の消費行動特徴に関する研究 : Kリーグ観戦者の人口統計学的特徴、観戦動機、観戦ニーズを中心に 環境と経営 静岡産業大学論集, 14(1) ,1-14.

ところがまったく音沙汰がない。 目が点になるとはこのことである。

担当者ともどもこの制作会社は次回から返信しないブラックリスト行き。