自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

インナーマッスル

このところテニスやクライミングをすると、すぐに腰や背中や膝が痛くなる。

朝から夜まで仕事をした後、23時までテニスしてたりするから過労と言えばそれまでだし、加齢といえばもっとそれまで。

ネットで調べてみると『インナーマッスル』というキーワードが目につく。マシンやウェイトを使って大きくて見える筋肉を鍛えても、小さくて見えない内部の筋肉が弱ければバランスが悪くなって障害を引き起こしやすくなるらしい。

これに違いないと思って、保健体育講座の南先生にいろいろ質問してみた。

南先生によれば....

・一般的に、インナーマッスルは肩や股関節、コアマッスル(っていうのもあるのだ)は体幹で使うことが多い。

・肩のインナーマッスルについては、水泳でも頻繁にトレーニングしている。特に、肩甲骨周りや棘上筋や棘下筋には有効である。

・あまり激しくやらないで、軽い負荷で50回くらいでだるーい感じが出れば良い。

・回数を多くしすぎると、疲労でインナーではなく、他の筋群を使ってしまうことがあるので要注意。

・トレーニングの進行状況は「毎日やった」「肩甲骨の使い方がうまくなった」「痛みの具合が軽くなった」などで確認する。 

とのこと。

 大きな筋肉をトレーニングすれば、すぐに筋肉がパンプする。視覚的にも感覚的にもフィードバックがある。行動分析学から考察すれば、こうしたフィードバックが習得性好子であれば、トレーニングすることが強化されるから、トレーニングの持続は比較的たやすい。

 ところが、小さな筋肉のトレーニングにはどうやらこうしたはっきりとしたフィードバックがなさそうだ。痛みがなくなるとか、体が動かしやすくなるという結果は『塵もつもれば山となる型』であって、トレーニングを強化するようには働かないだろう。腰痛防止のためのストレッチなんかをやり続けるのが難しいのと同じである。

 パフォーマンスマネジメントが必要かもしれない。