駒澤大学の小野先生の書き下ろし(?)作品。行動分析学の基礎領域全体がバランスよくまとめられている。
言語行動の章では刺激等価性についても解説されていて、人間の高次の認知活動を行動分析学の基礎概念で分析するのに役立つ。
タイトルにあるように、人間を豊かに理解するための、基礎と応用の橋渡し的な教科書として最適ではないだろうか。
「罰」が「弱化」になっているところも◎。
「正の強化/負の強化」を残したのは、小野先生曰く、
負の強化、負の弱化あたりはどうするのがよいか、結構考えたところです。結局、論理的な統一性をもたせるのが、最良なのかな、との判断です(私信)。
とのこと。
確かに論理性は一貫するですよね。こうすれば。
でも「負の弱化」と聞いて、行動が増えるか減るか一瞬で判断するのは、「負の強化」以上に難しそうな気がする(正解は「減る」)。
ルール支配行動や迷信行動、社会的行動のように、人間らしい行動の実験的行動分析の専門家である小野先生らしく、このあたりの章はとても読みやすく、わかりやすい。
初心者向けの本を何冊か読んだ後、さらに行動分析学に興味を持った人にぜひ奨めたい本です。
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