自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

誉め言葉のレパートリー

先日、某大手企業のマネジメント研修をやってきた。

その業界では、上司から誉められることはほとんどなく怒られることが多いそうだ。部下を誉めることも少なく、怒ったり叱ったりの方が多いという。

学校でも同じ。先生たちにとっても、子どもたちを誉めることはかなり難しい。注意したり、叱ったりというのはごくごく自然にできるそうだが....

米国の学校に見学に行くと、"Good boy!", "Nice job!", "Well done"などと、おだてているかのように誉めまくっている風景を目にする。

日本では企業でも学校でも《できてあたりまえ》という風土がある。《できてあたりまえ》の世界では、怒られないように、叱られないように、行動が動機づけられる。

行動分析学的に言えば、好子出現による強化よりも、嫌子回避による強化の随伴性が効いていることになる。喜びや楽しさよりも、不安や、よく言ってスリルを味わう文化である。社会的・経済的に比較的横並びで、みんなそろって進めたときはまだよかった。でも、現在のように多様性やバラツキが大きくなると、これではついていけない子どもも増えるだろう。

今年のサマースクールでは、演習の一つとして、参加者の先生方に、「教室で使える誉め言葉」をできるだけたくさん考えていただいた。まとめて徳島ABA研究会のHPにアップしてあるので、ぜひご利用いただきたい。