自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

反射的に

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実験装置を作るのに久しぶりにハンダごてを使って工作していたら、火傷してしまった(ブザマ)。

コードを踏んづけた途端、机から落下したハンダごてを“反射的に”つかもうとしてしまったのだ(疲れがたまってくるとこういう過剰般化が起こりやすくなるような気がする)。

傷跡は後の祭りだけど、授業でオペラントとレスポンデントの区別を教えるのには役立ちそう。

身の回りにあるレスポンデントの例をあげさせると、「泥水がはねたのを反射的によける」とか「殴られそうになったので反射的に殴り返した」など、実はオペラントである行動をレスポンデントと混同する学生がたくさんいる。

“反射的に”という表現が日常的には「とっさに」という意味で使われるようになってしまっているので、混同するのもやむをえない。

それに、日常生活に埋め込まれている自然の随伴性(行動内在的随伴性)によって形成される行動は、人から教えられたという意識がないぶん、まるで生まれ持って備わっていたように感じるのだろう。

ハンダごてを握った直後に熱くて手をひくのはおそらく反射だからそれと対比させればいい教材になるだろう。

転んでもタダではおきないぞ。