先週「死人テスト」について調べていたときに、Lindsley先生の業績リストの中に気になる文献を見つけたので読んでみた。
Lindsley, O. R. (1962). A behavioral measure of television viewing. Journal of Advertising Research, 2, 2-12.
Nathan, P. E., & Wallace, W. H. (1965). An operant behavioral measure of TV commercial effectiveness. Journal of Advertising Research, 5, 13-20.
一つめの論文はTV視聴行動をオペラント的に評価する仕組みを考案した研究。映像と音声の提示(画面の明るさ・ピント、音声の音量)をそれぞれのオペラント(ペダル踏み)に随伴させる実験装置を使う。ペダルを踏み続けないとテレビが観れないようになっていて(画面がぼんやり暗くなってきたり、音が小さくなってくる)、放送の内容が強化的であればオペラントの頻度も高くなるはずだから、番組の感想をリッカード尺度で評定してもらうより直接的で信頼性のある測定になるはずだというのがポイント。
二つめの論文ではそのオペラント的TV視聴行動測定システムを使ってコマーシャルの効果を評価している。ある地域で実際にTV放映されたCMがどのくらい視聴者の記憶に残っているかを調査した大々的なマーケティングリサーチを行い、その結果と実験室でのオペラントのデータがほぼ一致することを示している。
この時代、このような研究があと何本か論文になっているけど、残念ながら業界のスタンダードにはならなかったようだ。
30秒とか1分という限られた時間の刺激提示で行動変容を促すというのがTVコマーシャルの役割だから、行動分析学の知見はもっと活用できそうだ。ちょっと考えてみよう。