現職教員ゼミ生向けの本シリーズ、第二弾。
統計もそうだけど、現職ゼミ生は「科学」や「研究」に関する基礎的な考え方でつまづくことがある。
ものすごく大ざっぱな言い方をすると、ゼミ生やサマースクールに参加してくれる現職教員には、指導法や研究法について、たった一つの正解があってそれを覚えてしまいたいと思っている人が多いという印象がある。
質問をするときにも「これでいいですか?」と、正解か不正解かのみを問う。正解ならそれで一件落着という気持ちまで伝わってくることもある。
研究というのは、わからないことをわかるためにするものだけど、一つの研究ですべてがわかるわけではない。わからなかったことがわかる一方で、わからないことが残ったり、これまでわかっていたと思っていたことがわからなくなったりもする。
「すべては作業仮説(working theory)である」という勘をつかむことは、もしかしたらかなり重要なのかもしれない(自分の場合、こうした考え方は千葉大学時代に、恩師の実森先生から徹底的に叩き込まれた)。
本書は研究活動だけではなく生活全般でほとんど99.9%が仮説であるという仮説を展開している。そもそもなんのために研究をするのかを冷静に考えるのを、たぶん助けてくれると思う。
なぜか文字が大きかったり、妙に強調してたり、へんに挑発的だったりして、若干イラっとしながらも、最後までわかりやすく読めました。
第一弾で取り上げた本もそうだけど、こういう内容って、中学校の高学年や高校でぜひ取り上げるべきだと思う。微分・積分などより、よっぽど生活に関連しているし、日本人を賢くするのに有効だと思うから。
![]() | 99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 竹内 薫 光文社 2006-02-16 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |