自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

Bingに論文を要約してもらった:Estle et al. (2023). Discounting of outcomes in which immediate gains are followed by delayed losses.

所々怪しいところもあるけれど,ここまでできれば学部生が英語の(多国語の)文献を読む助けには十分なのでは? 大学院入試の英文全訳問題への回答と考えても合格点。

 

 

論文「Estle, S. J., Green, L., Myerson, J., & Yeh, Y.-H. (2023). Discounting of outcomes in which immediate gains are followed by delayed losses. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 119(1), 36–48. https://doi.org/10.1002/jeab.813」の概要を以下の領域でまとめて教えて下さい。-abstract -background -methods -results

こんにちは、これはBingです。😊

論文の概要を以下のようにまとめました。

-abstract この論文では、即時的な利益に続いて遅延した損失がある場合の割引率を調べました。このような場合は、自己制御の問題としてよく知られています。被験者は、即時的な利益に続いて遅延した損失がある選択肢と、遅延した利益に続いて遅延した損失がある選択肢の間で選択しました。選択肢の損失の大きさと遅延の長さを操作しました。結果として、即時的な利益に続く損失の割引率は、遅延した利益に続く損失の割引率よりも高く、損失の大きさと遅延の長さに影響されました。この研究は、即時的な利益に続く遅延した損失がある場合の選択行動を割引枠組みで理解できることを示しています123。

-background 割引とは、遅延や不確実性の影響によって報酬の主観的価値が減少する現象です。割引は、自己制御や衝動性などの個人差や、報酬の種類や量などの状況要因によって変化します。割引の研究は、主に単純な場合(例えば、即時的な小さな利益と遅延した大きな利益の間の選択、あるいは即時的な小さな損失と遅延した大きな損失の間の選択)に焦点を当ててきました。しかし、日常生活では、即時的な利益に続いて遅延した損失がある場合(例えば、クレジットカードの利用やドラッグの摂取など)がよくあります。このような場合の割引率は、単純な場合とは異なるかもしれません123。

-methods (続き) の利益と損失の大きさと遅延の長さを見て、どちらの選択肢を好むかを回答しました。被験者は、各条件について10回ずつ選択しました。選択肢の提示順序は、ランダムに決められました。実験の最後に、被験者は、実際に選んだ選択肢のうちの1つが実行される可能性があることを知らされました 。

-results 被験者の選択行動を分析するために、割引関数と割引率を計算しました。割引関数とは、報酬の主観的価値を遅延や確率の関数として表したものです。割引率とは、割引関数の傾きを表したもので、割引の程度を示します。割引率が高いほど、報酬の主観的価値は減少しやすくなります。結果として、以下のことがわかりました。

即時的な利益に続く損失の割引率は、遅延した利益に続く損失の割引率よりも高かった。つまり、即時的な利益に続く損失は、遅延した利益に続く損失よりも主観的価値が低かった。
即時的な利益に続く損失の割引率は、損失の大きさと遅延の長さに影響された。損失の大きさが大きくなると、割引率が高くなった。遅延の長さが長くなると、割引率が低くなった。
遅延した利益に続く損失の割引率は、損失の大きさと遅延の長さに影響されなかった。損失の大きさと遅延の長さが変化しても、割引率はほとんど変化しなかった 。

-results (続き) これらの結果は、即時的な利益に続く損失の場合と遅延した利益に続く損失の場合では、割引のメカニズムが異なることを示唆しています。即時的な利益に続く損失の場合は、損失の大きさと遅延の長さが割引率に影響を与えるのに対し、遅延した利益に続く損失の場合は、影響を与えないのです。この違いは、即時的な利益に続く損失の場合は、損失の避け方が明確でないために、不確実性が高くなるという仮説で説明できるかもしれません 。

この論文の応用例を教えてください。


この論文の応用例としては、以下のようなものが考えられます。

クレジットカードの利用や借金の返済などの金融行動において、即時的な利益に続く遅延した損失の割引率が高いと、将来的な負債を軽視してしまう可能性があります。この場合、割引率を低くするための介入が必要になるかもしれません123。
ドラッグの摂取や喫煙などの健康行動において、即時的な利益に続く遅延した損失の割引率が高いと、長期的な健康被害を無視してしまう可能性があります。この場合、割引率を低くするための教育やカウンセリングが必要になるかもしれません123。
環境保護や気候変動などの社会的課題において、即時的な利益に続く遅延した損失の割引率が高いと、未来世代の福祉を考慮しない行動をとってしまう可能性があります。この場合、割引率を低くするための政策や啓発が必要になるかもしれません123。