自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

はるがきた:やんちゃな小犬の子育日記(その15)雷対策

 関東では観測史上一位を更新し続ける暑さが続いています。「観測史上」というのがいつからのことなのか気になったので、気象庁のHPの「過去の気象データ・ダウンロード」をみたら、東京の気温は1872年から遡ってダウンロードできるみたいです。

 1872年といったら、明治5年。日本史の教科書的には岩倉使節団の年です。行動分析学で記録する行動の定点観測はせいぜい半年とか1年とかなので、こういう時系列的に長い期間のデータはただそれだけでなんだか興奮してしまいます。

 夕方、雷雨があった後で散歩をすると、出会う散歩仲間の皆さんの話題もそれに集中するようです。「うちの子、雷、怖がって吠えてしまって」とよく言われます。

 うちの子も去年がそうでした。どかんと来ると、びくっとし、あたりを見回し、背中を丸め、背中の毛は逆立って、尻尾は丸まって股の下、しまいにはぎゃんぎゃん鳴き出してしまっていました。

 留守中のそんな様子を後からビデオで観たときには、余計に可哀想になりました。

 そこで去年は、ネットから雷の効果音をダウンロードして、iPhoneに保存し、iPhoneをステレオのAUXにつないで、ステレオから雷の音を流して馴化させる練習をしました。
 拮抗条件づけをするためフードをあげながら、最初は小さな音で。怯えていないことを確認しながらボリュームを上げていき、最終的にはけっこうの大音響で提示しました。

 うちのステレオはホームシアター用5.1CHで、サブウーハーもあり、かなり響きます。雷の音源も複数パターン用意して、無作為な順序で使いました。

 ただ、昨年は、この練習をやった後には小さな雷が数回なっただけだったので、練習の効果がはっきりと確認できませんでした。

 それがどうやら、今年は大丈夫のようです。先週、はるが寝ているときに雷がなりました。最初の「ドカン」で頭をあげ、周りを見回しましたが、吠えることも、立ち上がることもなく、しばらくすると、また寝てしまいました。その後も、私の留守中に夕立があったときがありましたが、ビデオを観る限り、雷の音に反応してはいませんでした。

 去年の拮抗条件づけの手続きがどれくらい効いているのかは正直わかりません。生活全般が安定してきているという影響もありそうだし、今年はまだ地響きがあるほどの雷がなっていないからかもしれません。

 雷に対し、不安反応がでて、吠えるようになったら、また拮抗条件づけをやってみようと思います。