自然と人間を行動分析学で科学する

島宗 理@法政大学文学部心理学科【行動分析学, パフォーマンスマネジメント, インストラクショナルデザイン】

ユーザーテストを義務化してくれ

Constructionperformance2007

横軸が月次。縦軸が新規住宅着工件数。思わず条件変更線を書き込んじゃいました。

6月に施行された改正建築基準法の影響で、なんと3カ月連続で前年度比40%以上の減少。このままではGNPを確実に押し下げて、景気に悪影響を与えるのは間違いないと言われている。

この法改正は昨年世の中を騒がせたアネハ系耐震偽装事件に対処するために行われたもので、行政が国民生活の安全を脅かす事態に迅速に対処したという点では合格かと思っていたんだが、どうやらかなりめちゃくちゃらしい。

問題点は至るところにあるようだ。気になったのは、法律の中に「些細な設計変更については再審査が必要ない」というような条文があり、しかもその"些細な"の範囲が明確に示されていないってところ。さらに、そういう問題点が現場から次々と指摘されていたにもかかわらず、対応がなされなかったってところ。

法律家じゃないから法としての妥当性は判断できないけど、"些細な"なんてのは、人に何かを伝えるインストラクションとしては悪例だ。

しかも、施行前に現場の人たち(実際にこの法に携わって仕事をする人たち)から意見徴収をしていないのか、あるいは形だけの意見徴収をしてその声は無視したのか、要するにユーザーテストとそれにもとづいた改善をしていないデバッグ前の状態で世の中に出してしまったようで、これもインストラクションとしては悪例。

中央官庁の仕事は国民全体、国全体に影響するんだから、何かを施行する前には、必ずユーザーテストを繰り返し実施して、問題点を潰してからじゃないと世の中にだせないという法律を作って欲しい(もちろん、そういう仕事を怠慢して今回のような問題を引き起こしたら、担当者を処罰できるように。そしてポジティブには、そういう仕事をきちっとやって改善のプロセスを残した担当者は局内で評価されるように)。