珍品お宝発掘隊第3弾。
林 義樹(1990)教育工学に関する基礎的研究 : 第2章スキナーとティーチング・マシーンの理論化 中村学園研究紀要(人文・社会科学編), 22, 65-73.
スキナーの生い立ちから、ティーチングマシンを開発するにいたった経過まで解説している論文を発見。
娘の授業参観に行ったとき、その授業があまりにひどかったので、ラボに帰ってさっそくティーチングマシンの開発に取りかかったというエピソード。
つまり、当時の学習心理学からわかっていた教えるためにすべきことはほとんどせず、すべきではないことばかりしていたという、学校教育における研究と実践のギャップがきっかけだったという話。とても興味深い。
ティーチングマシンの3大先駆者と言われる、スキナー、プレッシー、クラウダーの比較もなされているが、このへんは概論教科書的かな。
インストラクショナルデザインに関して、スキナー(というより行動分析学)のアプローチが他のアプローチと決定的に異なるのは、データを元にユーザーテストを重ね、教育目標の達成を保証するプログラムをつくるところにあると思うのだが、残念ながらこの点はふれられていない。
「CAIは、今後、プレッシーはおろか、スキナーやクラウダーの名前さえ知らない人々によって、コースウェアが開発される運命なのである」(p.72)
「CAI」を「e-Learning」とか「WBT(Web-Based Training)」に変えれば、見事、現状にあてはまる。残念なことだが、お見事な予測。